仙台高等裁判所 昭和28年(ム)2号 判決
本件再審申立の理由は末尾添附の再審の理由と題する書面記載のとおりである。
しかし再審の申立人が本件再審の事由として主張する点、即ち再審申立人及び再審被申立人間の福島地方裁判所昭和二十五年(レ)第七号事件の判決正本が、同事件に於ける再審申立人の訴訟代理人であつた土屋芳雄に送達された昭和二十六年十一月二十一日当時、右土屋芳雄は右訴訟代理権を失つていたものであり、従つて右土屋芳雄に於て再審申立人の訴訟代理人として右判決正本の送達を受けるに必要な授権の欠缺があつたという点は、再審申立人がさきに本件再審の対象たる原判決(当庁昭和二十七年(ツ)第四号事件判決)に対する異議申立(当庁昭和二十七年(ウ)第三一号事件)に於て之を主張したところであり、右異議申立事件に於てその理由なしとして既に判断されたところであることは記録上明なところである。かような場合は再審の事由を既に上訴によつて主張した場合に準じ最早再審の申立をし得ないものとするのが相当である。而も所論土屋芳雄の訴訟代理権が所論の当時解任又は辞任等により結局消滅していたものである点については、記録を精査するも到底之を認めることが出来ない。
よつて本件再審申立を却下すべきものとし、民事訴訟法第九十五条、第八十九条を適用して主文の通り判決する。
(裁判官 村木達夫 高橋雄一 佐々木次雄)
再審の理由
判決理由によると、判決正本は昭和二十六年十一月二十一日上告人代理人土屋芳雄に送達したので二週間内に提起しないから期限経過後で不適法であつてその欠缺はこれを補正することができないものといわねばならない、と云うにあるが上告人は昭和二十七年四月十三日土屋芳雄より判決正本即ち昭和二十五年福島地方裁判所(レ)第七号同(レ)第十号判決書の送達を受け同月十六日適法の期間内に提起したる事は同五月二十一日付の書面に依り明かである、土屋芳雄は結審と同時に辞任された事は福島地方裁判所よりの回答に依り知つた解任しなくとも辞任すれば上告人の代理人でない、代理人でないものに判決書を送達するは違法である、之れに就て証拠書類を添付して最高裁判所へ抗告した、其結果書類記録が文書の往復にて判然しないので本月二十三日最高裁判所事務総局訟廷課にて調べた結果再審の事由を知る事を得た、右なる事実は記録に依つて明白である。